世界大百科事典(旧版)内の思想問題の言及
【思想】より
…そして,明治30年代以降,近代的自我の覚醒が家制度や国家権力との緊張関係のなかで,いわゆる〈私小説〉的精神風土を生むにつれて,思想は人生問題を中心とする内心の煩悶を示す言葉ともなった。やがて西欧近代思想が本格的に研究され,また社会主義や無政府主義が導入されるとともに,ひろく社会問題を論じ,社会改革を主張するものを,とくに思想の名で呼ぶようにもなり,ついには〈思想問題〉や〈危険思想〉という言葉も生まれて,思想という語に政治的意味合いが含まれるまでになった。とくに第2次大戦前の昭和期には,〈思想的〉という語が〈左翼的〉〈革命的〉という含意をもつまでになった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」