世界大百科事典(旧版)内の思考奪取の言及
【思考】より
…なお,思考障害の特別なものとして,思考への影響性といって,主として精神分裂病者の訴える,自分の考えが他人によって操作されるという体験(させられ体験,作為体験の一種で〈させられ思考〉という)がある。この際には他人によって自分の考えが奪われたり(思考奪取Gedankenentzug),他人から考えを入れられる(思考吹入Gedankeneingebung)という体験として訴えられる。【保崎 秀夫】
【認知科学における思考】
[思考と問題解決]
人間はさまざまな場面で思考を行う。…
【精神分裂病】より
…自室にこもるようになるが(自閉),自分の悪口を言う声が聞こえ(幻聴),または自分の考えることが外から声として聞こえ(考想化声),自分のことが周囲に漏れていると感じ(考想伝播),動静がまわりの人にわかるのは部屋のどこかに盗聴器やカメラが仕掛けられているためと考える(説明妄想)。そのほか,行動が他人にあやつられ(させられ体験=作為体験),自分の考えが抜き取られ(思考奪取),他人の考えが吹き込まれる(思考吹入)と感じるなど,見えない相手に翻弄され,ときには興奮して突飛な行動に出たり,いっさいの自発性を失って昏迷状態に落ちこんだりする。 慢性期に移ると,不安や危機感は減るかわり,妄想や幻覚などの症状は固着して,それに対する確信が強まり(病識欠如),独語や独り笑い(空笑)も加わる。…
※「思考奪取」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」