性格責任論(読み)せいかくせきにんろん

世界大百科事典(旧版)内の性格責任論の言及

【刑法理論】より

… 新派の主張を図式的に要約すると,(1)意思の自由を否定し,犯罪を行為者の性格と環境から生ずる必然的現象とみる立場から(意思決定論),(2)犯罪行為を反社会的性格の徴表であるとし(犯罪徴表説),(3)罰せられるべきは,自由意思の発現とされてきた〈行為〉ではなく〈行為者〉であるとした(行為者主義)。そして,(4)犯罪の成立について行為者の反社会的性格・動機などの主観的側面を重視し(主観主義,性格責任論),(5)そのような反社会的性格による社会的危険性をもつ者は,社会が自己を防衛するためにとる一定の措置を甘受しなければならない負担を負うとした(社会的責任論)。そして,(6)刑罰は行為者の反社会的性格を改善・教育するための手段であって(改善刑論,教育刑論),(7)行為者の再犯の予防を目的とするものであり(特別予防論),(8)このようにして社会を犯罪から防衛するのである(社会防衛論)と主張した。…

【責任】より

…これは,責任を心理的意思に対する非難可能性として実質化していったとき,行為要素としての意思活動の背後にある行為者側の人格的ないし環境的事情を考慮せざるをえなくなることを正面から認めつつ,なお明確に行為と結びつける立場である。これらに対し,個々の行為と意思とは行為者の犯罪的性格の危険性の徴表にすぎず,責任とは性格の危険性のもつ社会的意味自体であって,非難の契機を有さないとする性格責任論,犯罪行為とは行為者の人格の現実化であり,責任非難も行為だけを切り離して論ずることはできず,行為の背後にある人格環境にまで及ばねばならないとし,主体的な人格形成についても行為者に非難を加えることができるとする人格(形成)責任論等も主張されているが,今日支持者は少ない。 さて,上では責任を非難可能性,すなわち規範的価値判断それ自体として述べたが,規範的責任論と呼ばれるこのような考え方が当初から存在したわけではない。…

※「性格責任論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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