世界大百科事典(旧版)内の《慙紅葉汗顔見勢》の言及
【累物】より
…《伊達競阿国戯場(だてくらべおくにかぶき)》(1778)以後は,たいてい伊達騒動を脚色した時代物の世界に繰り込まれるとともに,そのヒロインが鏡を見て自分を醜婦と知り,主人歌形姫に対する夫の忠義に嫉妬し殺される段取りが,累物の系脈を作った。文化・文政期(1804‐30)には,鬼怒川での累殺しと怨霊のケレン的活躍を見せ場にして怪談の要素が強くなり《阿国御前化粧鏡(おくにごぜんけしようのすがたみ)》(1813),《慙紅葉汗顔見勢(はじもみじあせのかおみせ)》(《伊達の十役》,1815),《法懸松成田利剣(けさかけまつなりたのりけん)》(清元《累》を含む,1823)など多くの作品が登場。その後《新累女千種花嫁(しんかさねちぐさのはなよめ)》(1867),《雨夜伽累譚(あまよのとぎかさねものがたり)》(1879)は馬琴の伝奇小説趣味をなぞったもので,明治期の三遊亭円朝原作《真景累ヶ淵》で,怪奇を神経的なものからくるとみるなど,因果譚に発した累物の近代的到達を示している。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」