…しかし20世紀に入ると,こうした性格批評よりも,〈強いられた状況の劇〉〈権力と世襲との劇〉など,劇全体のモティーフやドラマの構造原理に,より大きな関心が払われることが多い。 日本への初期の移入では,明治半ばに外山正一や矢田部良吉による部分訳(いずれも《新体詩抄》(1882)所収),仮名垣魯文による翻案《葉武列土倭錦絵(ハムレツトやまとにしきえ)》(1886)などが試みられたが,完訳は戸沢姑射(こや)(正保)と浅野馮虚(ひようきよ)(和三郎)の共訳(1905),それに続く坪内逍遥訳(1909)以降である。逍遥訳初版は,もっぱら実演に便宜なように企図したため,訳詞が歌舞伎式,七五調となったと彼自身述懐している。…
※「戸沢姑射」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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