世界大百科事典(旧版)内の所領明細帳の言及
【土地台帳】より
…有力領主が作成の主体であったが,王権と教会,ことに修道院が作成したもの約20が伝来されており,サン・ジェルマン・デ・プレ,サン・レミおよびプリュムの修道院による大規模な台帳が有名である。記載の範囲と精粗は多様だが,領主直営地と農民保有地,および賦役労働を中心とする農民の負担を,主たる描写の対象として,土地と人間のいずれにも片寄らない記録となっており,土地台帳の一つの類型として,〈所領明細帳polyptyque(フランス語),Urbar(ドイツ語)〉と呼ばれている。しかし,それが現実の静態的な描写なのか,あるいは,領主の構想する所領像の表現であるのか,法廷での挙証能力をもっていたか,カロリング王国でどの程度普及していたか,これらの点をめぐって古くから論争が続いており,史料的価値についても見解が分かれている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」