化学辞典 第2版 「折りたたみ構造」の解説
折りたたみ構造
オリタタミコウゾウ
folded chain structure
長い線状高分子は,溶液または溶融体(メルト)中では,コイル状に丸まった状態にあり,このような状態から分子鎖が結晶化する場合には,約10 nm の厚さに分子鎖が折りたたまれた板状(ラメラ)晶が発現する.このような分子鎖の構造を折りたたみ構造という.分子鎖の折りたたみ構造については,いくつかのモデルが提出されている.たとえば,図に示すように高分子鎖1本がすぐ隣り合って折りたたまれるモデル(adjacent reentry model)がもっとも一般的である.分子鎖の折りたたみ部分の構造としては,高分子の種類や結晶化条件によって異なるが,分子鎖が数個の化学構造単位(繰返し単位)で鋭く折りたたまれているもの(①:sharp fold)や,より多くの単位で緩く折りたたまれているもの(②:loose loop),そのほか折りたたまれずラメラ間を結んでいるタイ分子(③:tie molecule)や分子鎖末端がラメラ表面に飛び出しているもの(④:hair molecule,cilia)がある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報