世界大百科事典(旧版)内の抽象的符合説の言及
【錯誤】より
…この見解では,具体的事実の錯誤の場合は故意を阻却しないが,抽象的事実の錯誤は故意を阻却する(たとえば,A物をねらってピストルを射ったが,弾丸がそれて,B人を殺した場合,B人に対しては過失致死罪に問われるのみだが,A物をねらってピストルを射ったがC物をこわした場合は,C物に対する器物損壊罪に問われる)。また,〈抽象的符合説〉は行為者の認識と発生した事実とが構成要件を異にするときでも,軽い罪の限度で故意を認める(たとえば,人だと思って射ったところ人形だったという場合は,軽い故意の器物損壊罪の成立を認める)。これらの諸説のうち,通説・判例は法定的符合説をとるが,近時,修正された具体的符合説も有力に主張されている。…
※「抽象的符合説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」