新石器革命(読み)しんせっきかくめい

世界大百科事典(旧版)内の新石器革命の言及

【採集狩猟文化】より

…現生人類はおよそ3万5000年前に出現したのであるが,農耕と牧畜という生計様式が芽生えたのはたかだか1万年前のことであり,農耕民と牧畜民が人類の多数派となるのはさらにのちのことである。新石器革命または食糧生産革命と呼ばれるこの画期的なできごとによって,人口は加速度的に増加し,農耕・牧畜文化を基盤とする社会は急速に拡大していった。採集狩猟社会は,農耕文化牧畜文化の影響を受けてみずから変容し,吸収され,急激に減少した。…

【新石器時代】より

…こうして上記3種の転換のうち,地質学的・石器製作技術史的区分ではなく,経済史的区分をもって新石器時代を定義づけることが,イギリスのV.G.チャイルドによって提唱された(1936)。彼によると,先行する旧石器時代,中石器時代が食料採集経済段階であるのに対して,新石器時代は自給自足の食料生産経済段階に属しており,この産業革命に優るとも劣らない大きな飛躍は,〈新石器革命neolithic revolution〉の名に値する。食料生産によって生じた余剰がやがて専門技術者を生み,ついには階級の成立,都市・国家の誕生を促すに至るからである。…

【チャイルド】より

…彼は人類進化の指標を人口の増加に求めた。植物栽培と家畜による食糧生産の開始をもって人類史の第一革命すなわち新石器革命Neolithic Revolutionと考え,その結果として生じてくる定住と建築材の発達,生産効果をあげるための人工灌漑のくふう,それらが生み出した余剰生産をもとに交易と運送機関が発達し,青銅器の発明からくる専業工人などの存在が可能となって分業が成立し,やがて彼らの居住する都市が成立して支配階級が出現する等の一連の現象を第二革命すなわち都市革命Urban Revolutionと評価し,これらの革命が古代オリエントとエジプトで達成されたのち世界に伝播したと主張した。そして次の第三革命が産業革命Industrial Revolutionに相当するという。…

【農耕文化】より

…その結果,作物栽培を組織的に行う農耕が発生し,この農耕を生業の基盤として発展した文化が農耕文化である。考古学者のV.G.チャイルドは,この農耕の発生を〈新石器革命neolithic revolution〉と称したが,それ以前の採集狩猟経済の段階に比べ,農耕の段階になると,人類の社会や文化には著しい進化がみられた。なかでも,安定した食料生産力の確保と人口支持力の著しい向上によって,定着的な村落が発生し,各種の生産技術や土器や織物をはじめとする製作技術の発展したことが,まず注目されねばならない。…

※「新石器革命」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」