世界大百科事典(旧版)内の晴明伝説の言及
【安倍晴明】より
…この2人の,卜占をめぐる熾烈なる抗争は古浄瑠璃《信田妻(しのだづま)》(作者不明)や義太夫《蘆屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)》(竹田出雲作,1734初演)などの名作として,既往の所伝や芸能をふまえつつ江戸時代前期に結実したが,そこでは晴明は摂津国の安倍野の武士である安倍保名(あべのやすな)が和泉国の信田(信太)森(しのだのもり)の狐(白狐)の化身である女と契って生まれた子だとしている。晴明にかかわる伝説の地は,陰陽師の拡散と定着につれて各地にひろがったが,ことに賤民層を多数含んだ下級陰陽師集団が生業たる卜占の技の権威づけのために晴明伝説を最大限に活用した面がつよかった。晴明神社をひかえた京都の一条戻橋(もどりばし)のあたりは,その中心地域で,晴明伝説の豊かな母体である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」