世界大百科事典(旧版)内の有相唯識の言及
【安慧】より
…西インドのカーティアーワール半島にあるワラビーValabhīに生まれ,徳慧(とくえ)の教えをうけた。安慧の学説は,〈無相唯識〉といわれ,同時代に活躍した護法(ダルマパーラ)Dharmapālaの学説〈有相唯識(うそうゆいしき)〉と区別される。その特色は,すべての心作用を根底から規定している潜在意識,すなわちアーラヤ識は究極的には否定され,見るものと見られるものの区別を失った絶対知が得られる。…
【ディグナーガ】より
…彼の論理学はその孫弟子であるダルマキールティによって継承発展させられた。なお初期の著作と思われるものに,《俱舎論》《八千頌般若経》に対する注釈・要約があり,また《観所縁縁論》は有相唯識説を説き,唯識説を認識論的に緻密にしたとされる唯識派の学匠としての彼を知る上で重要である。唯識派【松本 史朗】。…
【唯識派】より
…世親後の重要な論師としては,陳那(ぢんな)(ディグナーガ),無性(むしよう),安慧(あんね),護法(ダルマパーラ),戒賢,法称(ほつしよう)(ダルマキールティ)らがあげられる。学派としては,世親→安慧→真諦と続く無相唯識派と,陳那に始まり無性→護法→戒賢→玄奘とつながる有相唯識派とが対立した。この唯識派の思想が中国にもたらされ,地論宗,摂論宗(真諦の系統),法相宗(玄奘の系統)の三つの学派が成立した。…
※「有相唯識」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」