杵屋正治郎(読み)きねやしょうじろう

世界大百科事典(旧版)内の杵屋正治郎の言及

【鏡獅子】より

…作詞福地桜痴。作曲3世杵屋(きねや)正治郎。振付9世市川団十郎,2世藤間勘右衛門。…

【岸の柳】より

…長唄の曲名。杵屋(きねや)梅彦作詞,3世杵屋正次郎作曲。端唄風長唄。1873年6月に東京の東両国の貸席で初演。柳橋から両国にかけての隅田川河畔の夏の情景を軽く明るく粋に作曲。曲の由来には2説あり,船宿近江屋の娘が近所の古着屋の息子と心中しかけたが助けられ結ばれた祝いとも,また鳴物師岸田伊左衛門が思いかなって柳橋の近江屋の芸者と夫婦になった祝いとも言う。後説では岸田の岸と柳橋の柳とをとって題名にしたという。…

【喜三の庭】より

…長唄の曲名。1859年(安政6)9月,岡安喜代茂の舞台開きに発表。作詞者未詳。作曲者は前半合方まで2世杵屋(きねや)勝三郎,後半は3世杵屋正次郎と伝えられている。前半は三下りで,山田流箏曲《小督(こごう)の曲》の影響を受け,源仲国が小督を探した嵯峨野の秋の情趣をうたい,箏の手事の長い合方を加え,後半は二上りで,がらりと俗にくだけて廓の行事を秋草にこと寄せて述べ,豊年祝いの詞で結んでいる。秋の情調をうたった名曲である。…

【元禄花見踊】より

…歌舞伎舞踊。長唄。本名題《元禄風花見踊》。1878年6月9世市川団十郎,5世尾上菊五郎,初世市川左団次,8世岩井半四郎,市川小団次ほかにより東京新富座初演。作詞竹柴瓢助。作曲3世杵屋(きねや)正次郎。振付初世花柳寿輔ほか。上野の山の花見で,湯女,武士,若衆,町娘,奴,町人など元禄の風俗を写した総踊。二上りで花やかな元禄風の気分を旋律化し,外国にも有名な曲である。【西形 節子】…

【猩々】より

…(1)能の曲名 五番目物。祝言物。作者不明。シテは猩々。唐土の揚子(ようず)の里に高風(こうふう)という孝行な酒売り(ワキ)がいた。その店へ近くの海中にすむ猩々がきて,酒を飲んで舞い戯れ(〈渡り拍子・乱(みだれ)〉),いくら汲んでも尽きない酒瓶を高風に与えて祝福する。乱は遅速の変化の多い特殊なリズムの曲で,舞い方も,普通の擦り足でなしに,抜き足,蹴上げる足,流れ足(つま先で立っての滑走)などを用いて,水上を戯れ遊ぶていを見せる。…

【素袍落(素襖落)】より

…(1)狂言の曲名。《素袍落》と書く。太郎冠者狂言。大蔵,和泉両流にある。急に伊勢参宮を思い立った主人は,かねて同行を約束していた伯父を社交辞令までに誘おうと,太郎冠者を口上につかわす。伯父は急のこととて辞退するが,太郎冠者が主人の供をするであろうと察して門出の酒をふるまう。酩酊(めいてい)した冠者は伯父をほめそやし,主人の愚痴を言い気炎をあげたうえに,祝儀に素袍までもらい,上機嫌で帰途につく。太郎冠者の帰りが遅いので途中まで迎えに出た主人が伯父の返事を問いただしても,要領を得ない。…

【筑摩川】より

…長唄の曲名。1879年10月,東京新富座初演。河竹黙阿弥作詞。3世杵屋(きねや)正次郎作曲。《鏡山錦栬葉(かがみやまにしきのもみじば)》という加賀騒動の狂言で,大月蔵人が鳥居又助に命じ,加賀の太守を殺させようとする場面に用いられた大薩摩物(おおざつまもの)。曲は本調子で,初め満水の筑摩川の叙景があり,又助が探り出る〈忍びの合方〉,つづいて勇壮な水馬のようすを表すが,ここへは人馬のひしめきを描いた〈初月の合方〉が入る。…

【土蜘∥土蜘蛛】より

…能,歌舞伎舞踊の曲名。(1)能 流派により《土蜘》とも《土蜘蛛》とも書く。五番目物。鬼物。作者不明。シテは土蜘の精魂の鬼神。源頼光(らいこう)(ツレ)の館へ侍女の胡蝶(ツレ)が薬を持って帰って来る。頼光は重病で苦しんでいるのである。そこへ怪しげな僧(前ジテ)が現れて,頼光に蜘蛛の巣糸を投げかけるが,頼光の太刀先に傷を負い姿を消す。物音を聞いて駆けつけた独武者(ひとりむしや)(ワキ)は目ざとく血痕を見つけ,その跡をたどって怪物の行方を突きとめることにする。…

【長唄】より

…三味線音楽の一種。歌舞伎芝居の効果音楽ないしその舞踊の伴奏音楽として成立したもので,三味線を主奏楽器とする歌曲中心の楽曲であるが,器楽曲として独立させうる間奏または歌を略した三味線のみの演奏の場合もある。〈鳴物(なりもの)〉と称する,太鼓,大鼓,小鼓,笛の4種の楽器(これを四拍子ともいう)が加わることもあり,さらに舞台裏で他のさまざまな効果楽器を加えることもある。後代には芝居・舞踊から独立して,音楽のみの演奏も行われるようになった。…

【望月】より

…(1)能の曲名。四番目物。現在物。作者不明。シテは小沢刑部友房(こざわのぎようぶともふさ)。信濃の国の住人安田庄司友治(やすだのしようじともはる)が殺害されたため,その妻(ツレ)と子の花若(子方)は流浪の旅に出た。近江の守山で甲屋(かぶとや)という宿屋に泊まったところ,宿の亭主が昔の家来の小沢刑部友房(シテ)であることを知り,再会を喜ぶ。そこへ偶然,主人安田庄司の敵(かたき)である望月秋長(もちづきのあきなが)(ワキ)が宿泊する。…

【紅葉狩】より

…(1)能の曲名。五番目物。鬼物。観世信光(のぶみつ)作。シテは戸隠(とがくし)山の鬼神。平維茂(たいらのこれもち)(ワキ)は信濃の戸隠山に鹿狩に出かけ,紅葉狩を楽しむ美しい女性たち(前ジテ・ツレ)の一行を見かける。誘われるままにその酒宴の席に加わった維茂は,杯を手にして女の舞に見とれているうちに眠りにおちいる(〈クセ・序ノ舞(または中ノ舞)・急ノ舞〉)。女は実は鬼神で,維茂の眠りを見すまして姿を消す。…

※「杵屋正治郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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