世界大百科事典(旧版)内の注釈版楽譜の言及
【楽譜】より
…結局,楽譜は音楽の記録のための便宜的な手段にすぎず,楽譜の行間に隠されている暗黙の約束ごとを理解している演奏者への伝達手段なのである。作曲家の自筆譜や手写本楽譜,初版楽譜などに基づいて批判的考証を加えた原典版楽譜と,校訂者が演奏上の細かい指示を書き加えた注釈版(実用版)楽譜が意識的に区別されることがあるのは,演奏における楽譜の解釈をめぐる問題が重視されるからである。非ヨーロッパ世界では,おおむね楽譜は楽曲の記憶の手段という,比較的消極的な役割を果たしているにすぎないが,ヨーロッパの芸術音楽では,楽譜が作曲の場となり,創作行為ときわめて密接かつ本質的な結びつきをもっている。…
※「注釈版楽譜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」