世界大百科事典(旧版)内の《清悦物語》の言及
【常陸坊海尊】より
…同書では誰よりも先に逃げようとする海尊が,ほかに2,3ヵ所書かれていて,その背後に逃げ上手,生き上手としての海尊像がすでに成立していたものと思われる。近世に東北地方に流布していた《清悦物語》では,海尊は不老長寿であったと伝えるところからすると,東北地方では,《義経記》と同材の物語が漂泊する語り手によって語られていて,早くから海尊自身の懺悔譚の傾向の強い語りがあったものと考えられている。《本朝神社考》《狗張子》《義経勲功記》などの近世の書物には,残夢あるいは残月と称する老翁が,不老長寿で源平合戦のことをよく知っていて,人々に話すので,尋ねてみると実は海尊であったとするものがあり,東北地方の地誌類にも同類の記事をときに見かける。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」