世界大百科事典(旧版)内の無償教育の言及
【教育費】より
…たとえば,教育的に貧困な家庭環境にある児童生徒の不利益を補うためにアメリカなどで進められている補償教育政策においては,教育費支出の項目に,健康診断,医歯療サービス,家庭生活の改善,レクリエーション活動が含まれている。公教育における教育費負担の原理としては,教育のもたらす利益を公的なもの(社会全体の政治的経済的文化的発展への寄与)と私的なもの(個人の生涯所得の増加)とに二分し,私的利益に対応する部分は受益者である学生生徒およびその家庭の負担とすべきであるという考え方(受益者負担主義)と,教育を受ける権利の保障および教育の機会均等の実現のために学校教育費と社会教育費のすべてを公費負担とすべきであるという考え方(無償教育=公費負担主義)がある。日本国憲法26条は〈義務教育は,これを無償とする〉と規定しているが,無償の範囲が義務教育の授業料不徴収にとどまるか否か,高等教育の教育費負担のあり方に対してはいかなる意義を有するのかについて広く見解が分かれている。…
※「無償教育」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」