無悪善(読み)むあくぜん

世界大百科事典(旧版)内の無悪善の言及

【落書】より

…また,いわゆる〈いたずらがき〉としての〈らくがき〉(落書,楽書)は,〈らくしょ〉が変化したものであるが,本来のそれとは区別されている。 落書の歴史は平安時代の初頭に貴族階級のあいだで始まり,しばしば政争の具に利用されて,昇任・栄転をめぐる官僚どうしの確執・暗闘にひと役かっていたようであるが,〈世間に多々〉広まった落書として有名なのは,嵯峨天皇の時代(9世紀初め)の〈無悪善〉という落書で,史上に名だかい学者の小野篁(おののたかむら)がこれを〈悪(さが)無くば善(よ)かりなまし〉と解読したという(《江談抄》)。以後,さまざまな落書,落首が各種の文献に記録され,それぞれの時代相をうかがわせる好資料となっているが,政情の混迷,社会の矛盾を巧みな表現で鋭くついたものとしてとくに著名なのは,後醍醐天皇による建武の新政時に京都の鴨川の二条河原に掲げられたという〈二条河原落書〉で,落書の歴史上,比類のない傑作とまで評価されている。…

※「無悪善」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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