世界大百科事典(旧版)内の無文漆器の言及
【漆工芸】より
…西方に起源がもとめられる琵琶,箜篌(くご),阮咸(げんかん)などの楽器や鏡には,螺鈿をはじめ琥珀(こはく),水晶,瑪瑙(めのう)などのさまざまな貴石が随所にちりばめられ,豪奢な雰囲気をつくり出しており,これらは正倉院の伝世品にみることができる。しかしこれらとは別に,器体に加飾をいっさいほどこさず,漆を塗りほどこしただけの無文漆器が併行してつくられていたことは刮目(かつもく)に値する。簡素なつくりの無文漆器は装飾性に欠けるため見過ごされがちであるが,この種の漆器が人々の実生活にかなったものとして以後の長い時代を通じて連綿と製作されつづけたことを思えば,これこそ中国の漆工芸の本流をなしていたといっても過言ではない。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」