煮貫(読み)にぬき

知恵蔵mini 「煮貫」の解説

煮貫

味噌原料とした調味料。希少品だった醤油に替わるものとして、江戸中期頃まで麺つゆとして広く用いられた。日本最古の料理本とされる『料理物語』(1643年)では、味噌一升を水三升でといて絞った液汁にカツオブシを入れ煎じて漉したもの、とされている。現代では、自家用レシピがみられるほか、株式会社銀座三河屋が三州八丁味噌を用いた「煮ぬき汁」を販売している。また、「煮貫汁」は株式会社イナサワ商店の登録商標となっている。

(2017-5-18)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の煮貫の言及

【みそ(味噌)】より

…企業的生産の行われる以前から自家醸造は盛んに行われており,経済力のあるところでは原料配合の異なる,さまざまな種類のものをつくっていたことが《多聞院日記》などでうかがうことができる。みその使い方にはさまざまなくふうがこらされ,微妙に異なる味の創出が試みられたようで,《料理物語》(1643)には生垂(なまだれ),垂(たれ)みそ,煮貫(にぬき)の名が見える。生垂はみそ1升を水3升でといて袋に入れ,したたり落ちる液汁をとったもの,垂みそはみそ1升に水3升5合を入れて煮たて,3升ほどに煮詰めて生垂同様にこしとったもの,煮貫は生垂に鰹節(かつおぶし)を入れ,煮たててこしとったものとされている。…

※「煮貫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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