熱力学の第1法則(読み)ねつりきがくのだいいちほうそく

世界大百科事典(旧版)内の熱力学の第1法則の言及

【永久機関】より

…カルノーは〈もしそれが可能なら水や空気の流れや可燃物の中に動力を求める必要はなく,欲しいだけくみ出しうる尽きることのない動力の源泉が利用できることになろう〉と言っている。この永久機関不可能の原理はのちに熱力学の第1法則(エネルギー恒存の法則)と熱力学の第2法則(エントロピー増大の法則)に定式化され,第1法則で不可能になるような永久機関は〈第1種の永久機関〉,第2法則で不可能になるようなものは〈第2種の永久機関〉と呼ばれるようになった。従来の試みはおもに第1種の永久機関であったが,恒存されるエネルギーの熱に変わったものを元の力に戻すことができればエネルギー恒存の法則に矛盾しない永久機関が得られることになる。…

【エクセルギー】より

…有効エネルギーともいう。ギリシア語のex(外へ)とergon(仕事)からなる術語である。与えられた環境条件のもとで,ある系から外へ取り出せる最大の機械的仕事をいう。エクセルギーの概念は,19世紀末からあり,最大有効仕事available energyとして研究されていたが,1956年にラントZoran Rantによりエクセルギーという語が提案された。 一般にエネルギーは,仕事に変えうるエクセルギーと,仕事に変わりえない無効なエネルギーであるアネルギーanergyとから成ると考えられる。…

【エネルギー】より

…最後にH.L.F.vonヘルムホルツも1847年に一般的な立場から,すべて仕事をすることのできる能力,すなわちエネルギーが電磁気現象も含めどんな現象においても保存されることを論じ,一般的な保存則の成立を主張した。それによると力学的現象に熱現象を含めた範囲でのエネルギー保存則,すなわち熱力学の第1法則は次の形になる。いまある物体に外部からW(J)の力学的な仕事を加え,またQ(cal)の熱を流入させる。…

【温度】より

…また19世紀初めごろまでにJ.L.ゲイ・リュサック,J.ドルトンらは,多くの気体の熱膨張係数がすべて同じ値であることを確かめ,以前からG.アモントン,W.アービンらが推測していた温度の下限,すなわち気体から熱が完全に奪われて圧力が0になる温度の値が摂氏でおよそ-270度であると主張した。このころから熱学は急速に発展し,19世紀後半に熱力学の第1法則,第2法則が認識されるに至って,温度は熱と区別された明確な概念となり,同時に普遍的な意味をもつ絶対温度の基礎も与えられた。さらに20世紀にかけて発展した気体分子運動論,統計力学により,熱現象を原子,分子の運動に基づいて理解することが可能となり,温度の意味もこのレベルで明らかになった。…

【熱力学の法則】より

…このときBが温度計の役割をするわけであり,変化のあるなしは例えば水銀柱の高さで見るのである。
[熱力学の第1法則]
 物理学のもっとも基本的な法則の一つは,どんな物理的変化においてもそれに関係するすべての物体のもつエネルギーの和は不変であるというエネルギー保存の法則である。熱力学の第1法則はこのエネルギー保存則にほかならないが,とくに熱がエネルギー変化の一形態であることを明らかにして,ふつう次のように述べられる。…

※「熱力学の第1法則」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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