世界大百科事典(旧版)内の特定不況産業安定臨時措置法の言及
【カルテル法】より
…1965年前後から,物価問題の深刻化に伴うカルテル法の見直しが政策課題として重要となったこと等もあり,カルテル法の数的増大はみられなくなった。昭和50年代に入ってからは,石油危機後の低成長のなかで構造的不況産業問題がクローズアップされ,特定不況産業安定臨時措置法(1978公布)が構造不況カルテル法として制定された(83年に全面改正され,特定産業構造改善臨時措置法と改称されたが,88年に廃止)。 独占禁止法体制のもとでのほとんどのカルテル法は,戦前と異なり,強制設立,強制加入,当然加入をなすものではない。…
【産業調整】より
… 日本でも石油危機後,エネルギー価格の高騰で比較優位を失ったアルミ製錬等の資源加工業,新興工業国からの追上げをうける繊維産業,世界的な需要停滞に悩む造船業等で,産業調整の必要性が高まった。特定不況産業安定臨時措置法(いわゆる構造不況法)(1978公布)は,平電炉,アルミ製錬,合成繊維等の産業で生じた大幅な需給不均衡を是正するため,過剰設備の処理等に必要な調整コストを政府が負担しようというものである。また特定不況地域中小企業対策臨時措置法(1978公布)は,特定地域への影響を少なくし,社会的な摩擦を回避しようとするものである。…
【設備共同廃棄】より
…したがって,設備共同廃棄では,その業界の需要は長期的に大幅な増加が見込めないことが前提になる。 代表的な例は,2度の石油危機によって国際競争力を喪失した日本のアルミニウム精錬業界が特定不況産業安定臨時措置法(1978年5月公布)に基づき1979‐82年にそれまでの年産164万tの設備を70万tまで縮小したケースである。また,中小企業において,内外の経済環境の変動に伴い著しい影響を受ける分野では,需要の減少から中小企業者の競争が激化し,共倒れの危険性が出てくる。…
【繊維工業】より
…一方,短繊維紡績業(綿糸,スパンレーヨン糸および短繊維合成繊維紡績糸)についても,1977年4月から79年1月まで,および81年5月から6月まで生産制限,設備制限といった不況カルテルを実施した。さらに,〈特定不況産業安定臨時措置法(構造不況法)〉に基づいて,1978年10月に合繊安定基本計画を策定し,合繊4品目について平均17.4%の設備を廃棄し,82年3月に完了した。構造不況法が83年6月で期限切れになるのに合わせて,〈特定産業構造改善臨時処置法〉が施行された。…
【造船業】より
… この造船不況に対して,官民では供給の絞込みによる需給ギャップの解消が目指された。政府は1978年に〈特定不況産業安定臨時措置法〉,87年には〈特定船舶製造業経営安定臨時措置法〉を策定して,2度にわたり(1)設備能力の削減(1次37%減,2次20%減),(2)造船不況カルテル認可による操業調整,(3)特定船舶製造業安定事業協会の過剰造船設備・土地の買上げなどの構造不況対策を実施した。この結果,船腹の供給能力はピーク時と比べ53%も減少した。…
【独占禁止法】より
…そのために,アルミニウム,石油化学製品等の業界における構造的な不況が深刻化し,それへの対処が強く要請された。その手段として,伝統的な産業政策の流れをくむ適用除外カルテル法としての特定不況産業安定臨時措置法(1978公布)が5年の時限立法として制定され,同法の終了後,その後継法として特定産業構造改善臨時措置法(1983)が制定された。 このような構造対策の成果もあり,日本は,先進工業諸国の中ではもっとも早く石油危機後の経済状況の改善に成功し,1980年代後半以降は,日本の貿易黒字の急増と突出が各国の注目を集めるようになった。…
※「特定不況産業安定臨時措置法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」