朝日日本歴史人物事典 「田村西湖」の解説
田村西湖
生年:延享2頃(1745)
江戸中期の博物学者。名は善之,通称は 元長,西湖は号。田村藍水の長男で,栗本丹洲 は実弟。父を継いで官医となり,藍水没(1776)後,江戸派本草学の中心のひとりとして活躍した。父をしのぐ学識といわれたが,若くして没したためか,著作は少ない。多紀家(幕医)の医学教育機関・躋寿館(のち幕府の医学館)の薬品会を主導したこと,寛政3(1791)年に幕府の命で小笠原諸島に向かったが,目的を達せられず,伊豆諸島を調査したことが知られる。このとき作成した『豆州諸島物産図説』は同諸島の最初の博物誌で,西湖の主著。ほかに『物品彙考』などが伝わる。
(磯野直秀)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報