世界大百科事典(旧版)内の疎外論の言及
【物象化】より
… ジンメル,リッケルト,ウェーバーが物化ないし物象化と呼ぶのは,精神的なものが事物的なものに化する,人格的なものが物象的(=非人格的)なものに成る,といった事態であり,そこでは〈主体的なものの客体的なものへの転成〉の構図で考えられている。ルカーチは,この構図を承けることによって,後期マルクスの物象化概念をその線で理解しただけでなく,ヘーゲルやヘーゲル左派の〈疎外論〉,すなわち,精神的なものの事物的なものへの外化,主体的なものの客体的なものへの自己疎外という論理をも彼流の物象化論に包摂してしまった。その結果,初期マルクスがヘーゲル左派と共有していた疎外論と,後期マルクスがそれを止揚して確立した物象化論との区別性があいまいになり,ヘーゲル主義的な〈主体‐客体の弁証法〉という構図内で両者が連続化されることになった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」