化学辞典 第2版 「発がん物質」の解説
発がん物質
ハツガンブッシツ
carcinogenic substance, carcinogen
悪性腫瘍を発生させる物質の総称であるが,その発がん機構は解明されていない.皮膚がんを発生させるものとして,ベンゾ[a]ピレン,7,12-ジメチルベンゾ[a]アントラセンなどの多核芳香族炭化水素がある.泌尿器系のがんを発生するものは,ベンジジン,1-ナフチルアミンなど,そのほかアニリン誘導体のアゾ色素(ジメチルアミノアゾベンゼン,2-(アミノアゾ)トルエン)があり,また4-ニトロキノリンN-オキシドは強力な発がん作用がある.ホルモンと発がんの関係も注目されており,たとえば,女性ホルモンは乳がん発生に関係がある.いずれの物質も長期にわたり反復して作用させると発がんの危険性が増大する.[別用語参照]化学発がん剤
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報