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物質 ぶっしつ matter

翻訳|matter

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

物質
ぶっしつ
matter

「素材」を意味するギリシア語hylēラテン語materiaに由来する概念。イオニア哲学では地,水,火,風などの万象の根源的元素を意味し,アリストテレスでは形相と相関するところの「規定を受ける原理」とされ,質料と訳されるが,そこから魂,精神に相対するものという概念が生じた。

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デジタル大辞泉の解説

ぶっ‐しつ【物質】

もの。品物。生命や精神に対立する存在としての物。「―の世界」
物理学で、物体を形づくり、任意に変化させることのできない性質をもつ存在。空間の一部を占め、有限の質量をもつもの。素粒子集まり相対性理論ではエネルギーの一形態、量子論では場とされる。
哲学で、感覚によってその存在が認められるもの。人間の意識に反映するが、意識からは独立して存在するもの。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぶっしつ【物質】

英語のmatterの訳語として成立した言葉で,いわゆる〈もの〉のこと。matterはラテン語のmateriaが語源であり,この語は本来は〈木の幹〉,つまり文字どおり〈素材〉(家を造る材木)を意味していたが,転じて,さまざまなものの材料一般を指すようになった。ギリシアでの〈質料hylē〉に相当し,motherも派生語の一つ。したがってもともと哲学的な議論を背景にして成立した概念といえる。現在では,一般に,空間のなかにある広がりを占め,人間の感覚によってその存在を確認することができるような何ものかは,すべて物質として理解される。

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大辞林 第三版の解説

ぶっしつ【物質】

もの。品物。 「 -文明」
〘物〙 古典的には,空間の一部を占め,一定の質量をもつ客観的存在。物質の構成要素は分子・原子であるが,究極的にそれらを構成する核子・電子等を物質粒子という。相対性理論によれば,物質はエネルギーの一形態とされ,また,場の量子論では,物質粒子も場として扱われる。
〘哲〙 意識から独立して時間空間内に存在し,感覚によってとらえられる客観的存在。 〔matter の訳語〕

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

物質
ぶっしつ
matter

「物質」という語にはほぼ三つの意味がありそうである。第一は俗に「物質万能の世の中」とか「物質主義」(「精神主義」に対して)とかいう場合の意味であり、これは現世におけるとりわけ金銭上の利益ということである。この意味の「物質」は、この項では扱わない。[秋間 実]

自然科学上の「物質」と哲学上の「物質」

第二は自然科学上の概念としての「物質」、すなわち、とりわけ物理学者が「最近の物質観」とか「空間・時間・物質」といった主題について語り、あるいは個々の「物質」の融解熱や発火点などについて数値をあげる、そういう場合の「物質」である。これは自然界を構成する諸要素のうち、生命のないものをさしている(生物については「物質代謝」が語られる場合にも、「物質」はこの意味で用いられる)。自然科学者は、このような物質の構造、性質、分布、歴史などを研究する。
 第三は哲学のカテゴリー(根本概念)としての「物質」である。これは、レーニンが『唯物論と経験批判論』で与えた有名な定義にいうように、(1)意識とは独立に存在し、(2)われわれの感覚の源泉であり、(3)感覚を通じて意識に反映される事物・現象の総体、すなわち客観的実在をさしている。レーニンはこうも規定している。「物質の唯一の『性質』……は、客観的実在であるという性質、すなわち、われわれの意識の外にあるという性質である」「物質の概念は、認識論的には、人間の意識から独立して存在し、そして人間の意識によって模写される、客観的実在以外のなにものをも意味しない」。このような規定は、物質と意識とのどちらが第一次的・本源的であり、どちらが第二次的・派生的であるかという「哲学の根本問題」に対する解答として与えられた。
 それでは、この哲学的物質概念と自然科学的物質概念とはどのような関係にあるのか。2点を指摘しよう。
 第一に、自然科学の発展の結果として自然科学的物質概念の内容がどのように変化しようと、それは哲学的物質概念の内容にはなんら影響しない。両者を混同してはならない。
 第二に、哲学的物質概念が適用される範囲は、自然科学的物質概念のそれよりも広い。それはもちろん自然を含むばかりではなく、自然の発展の過程で出現した人間社会――生産諸力の一定の発展に見合った生産諸関係を基本にして形成された、人間たちのさまざまな相互関係の総体――をも含むからである。
 以下、客観的実在としてのこの物質についていくつかのことを述べよう。[秋間 実]

運動する物質


物質と運動との不可分性
物質を、なにか死んだもの、怠惰なもの、自分では運動しないものというように考えてはならない。現実に、物質は運動するものとしてあるのであって、運動を不可欠の属性としている。「運動」とはすべての変化をいう。運動しない物質はなく、物質を離れて運動はない。運動は、物質の永遠の存在の仕方にほかならない。これは弁証法的唯物論の基本認識である。小は素粒子から大は銀河系また超銀河系に至るまで、全自然界において万物が絶え間ない運動・変化のうちにあり、生成消滅をしていることは、自然科学の全成果が証明している。また社会生活においても絶え間ない運動・変化がおきている。人類社会が原始の時代から今日の段階まで発展を遂げてきたことを、生活の明証と社会科学の立証とに背いて否定できるであろうか。物質の運動は質的に多様な形態をとり、この諸形態は、低次なものから高次なものへの転化・移行という階層的構造をもちながら、全体として歴史的な合法則的な発展過程のうちにある。[秋間 実]
運動する物質の基本的な特徴
これについては3点を指摘しよう。
(1)統一性 世界(自然・社会)のなかで万物は実に多様な姿を呈しているが、互いに無関係にばらばらにそうしているのではない。空間と時間とにおいて存在するものとして並存と継起(同時性を含む)という連関のうちにあるばかりか、因果性、相互性、階層性と歴史性などといった連関のなかにある。こうした多様な相互連関の究極の基礎は物質の統一性にある。すなわち、意識に対する物質の第一次性・本源性という唯物論の基本主張において表現されている物質的一元性にある。この意味でエンゲルスは『反デューリング論』のなかで「世界の現実の統一性は、その物質性にある」と述べたのである。
(2)恒存性 物質とその運動は不生不滅である。この見地は、いち早く古代ギリシア哲学において提起されたのち、キリスト教的創造説との対立の構図のなかで近世ヨーロッパ哲学においても受け継がれてきたが、19世紀になって、熱現象に関するジュールとマイヤーの仕事のうえにたってヘルムホルツが「力の保存」の原理を提示、これがのちにもっと正確に「エネルギーの保存と転化の法則」として確立されるに及んで、その自然科学的表現を手に入れることになった。
(3)無限性 物質とその運動の無限性とは、その多様な諸形態の全体においても、そのおのおの(たとえば、分子・原子の、あるいは素粒子の運動形態)においても、質的に限りなく豊富であり、その広さ・深さにおいても人間の手で認識され尽くすことはありえないということである。レーニンが当時発見されていた電子について「原子と同じようにくみ尽くされない」と述べたのは、端的にこのことをいったものである。人間にできるのは、現実には、それぞれの発展段階において物質とその運動についてそのつど相対的な客観的真理を獲得し、この相対的真理の蓄積の無限な系列を通じて漸次的に絶対的真理の獲得に近づいていくことだけである。[秋間 実]

空間と時間

運動する物質全体は、先にも触れたように、さまざまな連関のうちにあるが、そのなかでもっとも基本的で普遍的なものが空間と時間である。「いっさいの存在の根本形式は、空間と時間であって、時間の外にある存在というようなものは、空間の外にある存在と同じくらいに甚だしい無意味である」(エンゲルス『反デューリング論』)。空間は物質の「並列性」の連関であり、時間は物質の「継起性」の連関である(「継起性」は「同時性」を自分の契機として含み、これを介して「並列性」と結び付いている)。というわけで、物質があるからこそ空間も時間もあるのであって、物質がなければ、空間もなく時間もない。これはとりもなおさず、空間も時間も客観的・実在的なものだということである。カントら主観的観念論に傾いた哲学者たちが空間と時間を直観や思考の秩序づけの原理だと主張したのは誤りである。これは「空間」「時間」という概念が、人間が世界を理論的にわがものにするのに使う道具だという事態を絶対化するところから生じたものにほかならない。さらにニュートンが空間を物質から切り離して物質を入れる容器のようにみなしたのも誤りであった。物理学のレベルで物質と空間と時間とが緊密に結び付いていて切り離せないことを確証したのはアインシュタインの相対性理論である。[秋間 実]

物質の運動諸形態、物質の階層性・歴史性

自然諸科学の(まだきわめて乏しかった)知見に基づいて、自然の運動の諸形態を力学的運動形態から生物的運動形態へという、低次から高次へ(単純なものから複雑・豊富なものへ)至る階層をなすものととらえたのはエンゲルスであった。今日われわれは、この見地を受け継ぎ発展させて、現代自然諸科学の成果の哲学的一般化に基づき、全物質の運動諸形態の同じく上下に連なる階層的構造の格段に詳しく精確な――連続と非連続との統一という弁証法的論理を用いての――理解を手にしており、これに見合って、素粒子→原子核→原子→分子→巨視的物体→星→銀河→超銀河系という無機的物質の諸階層の系列(主系列)、および、分子→生体高分子→細胞→植物・動物→労働する人間とその社会、という有機的物質の諸階層の系列(枝系列)を認識するに至っている。しかも与えられた階層性を不変なもの、固定したものとみるのではなく、階層性を歴史性の表現ととらえることによって階層間の転化と移行を物質の歴史的発展の契機とみなしているのである。[秋間 実]

哲学史から

世界の物質的統一性という見地は、すでに古代ギリシアの自然学者たち(最初の哲学者たち)のもとにみいだされる。西洋哲学は、こうして唯物論的世界観として出発した。古代最大の哲学者アリストテレスも、物質恒存の見地を守り、生成・運動の論理の確立に努力した。ローマの原子論哲学者ルクレティウスが「なにも無からは生じない」「なにも無へと滅びない」を自然の二つの根本原理としたのは特筆に値しよう。この見地に対して古代キリスト教会の教父哲学において「無からの創造」説が形成され、唯物論対観念論という哲学上の根本対立が、物質の第一次性・本源性をめぐる両見地の対立というきわめて鮮明な形をとることになった。近世の機械論的唯物論では、有機的生命の世界をも、人間の意識・社会生活をも、物理的自然界と同質的に取り扱い、この諸領域を一貫して力学の諸法則で説明しようとした。物質に機械的(力学的)運動形態しか認められていなかったことになる。その一方で、デカルトが運動量恒存の原理を提起したことは重要である。その後、マルクスとエンゲルスが意識に対する物質の第一次性・本源性を改めて明確にしたほか、それまでの唯物論の狭さを克服して、自然・社会における運動・変化・発展の論理を確立することに努めた。19世紀末から20世紀初頭にかけて、不変と考えられていた原子も崩壊することがわかり、原子が物質の究極の単位だという観念も崩壊するという「物理学の危機」が訪れた。観念論者たちがこれをとらえて「物質は消滅した。だから唯物論はだめになった」と宣伝したとき、レーニンは客観的実在としての物質という哲学的物質概念を明確に示し、これとそのつどの自然科学的物質概念とを区別しなければならないことを力説、彼らを徹底的に論破したのであった。[秋間 実]
『岩崎允胤・宮原将平著『現代自然科学と唯物弁証法』(1972・大月書店) ▽福田静夫著『自然と文化の理論』(1982・青木書店) ▽有尾善繁著『物質概念と弁証法』(1993・青木書店)』

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