世界大百科事典(旧版)内の百合若説経の言及
【語り物】より
…成立時期の遅い浪花節,筑前琵琶なども語り物といえるが,中世以来の宗教性を色濃くとどめているものに,近年まで伝承されている地方の民間の語り物がある。巫女の語りとしては壱岐のイチジョウによって語られる百合若(ゆりわか)説経,東北のイタコのオシラ祭文などがあり,本来山伏の語り物であったと考えられる歌祭文,説経祭文,デロレン祭文などがある。また羽黒山伏の祭文の中には黒百合姫の物語のようなものもあり,東北地方では御国浄瑠璃なども語られ,九州地方には地神盲僧の語る肥後琵琶,薩摩琵琶などもある。…
【百合若大臣】より
…《報恩経》などの経典に見える善友太子の物語とのモティーフの類似が指摘されている。一方,百合若伝説は日本各地に流布しており,口承文芸,特に壱岐の巫女が語っていた百合若説経のような先行する語り物を脚色したものとも考えられる。また,坪内逍遥の指摘以来,ホメロス《オデュッセイア》の翻案とする説もあるが,確証はない。…
※「百合若説経」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」