世界大百科事典(旧版)内の皁衣の言及
【染色】より
…つまり同じ紫根という材料を使っても,それを明りょうに4色に染め分けえたのは,材料の選び方,染料の抽出の仕方,発色法などに差があったことを意味すると思われるからである。しかし,この服制は長く続かず,5年後の690年(持統4)には再び旧制に復し,最高位は黒紫,次に赤紫,緋,深緑,浅緑,深縹,浅縹の順になり,693年には無位の庶民は黄色衣を,さらに下層の民は皁衣(くりぞめのきぬ)を着用するように定められた。皁衣は橡(とち)や栗などタンニンを含んだ,いちばん手に入りやすい灌木の樹皮などで染めた焦茶色の衣を意味すると思われるが,庶民の黄色衣は,黄色の染料で染めたというよりは,その繊維材料が麻であったから,真っ白にさらさない状態を意味していたと考えられる。…
※「皁衣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」