世界大百科事典(旧版)内の短旋法の言及
【調】より
…したがって,音組織における中心音の存在と他の諸音に対するその強力な支配関係を意味する〈調性tonality〉よりも具体的な概念である(しかし現実には,〈調〉と〈調性〉はしばしば混同して用いられている)。また長調・短調という表現も,一見二つの異なる調を意味するかのように誤解されているが,両者の区別はオクターブ内における諸音の配置状態によるのであるから旋法mode(様態)の相違にほかならず,理論的にはそれぞれ〈長旋法〉,〈短旋法〉と呼ぶのが正しい。したがって厳密にいえば,ハ長調とは〈ハを主音とする長旋法〉,ニ短調とは〈ニを主音とする短旋法〉のことである。…
【長調】より
…また近代の機能和声にあっては,トニカ(主和音),ドミナント(属和音),サブドミナント(下属和音)の三つの主要和音がいずれも長3和音であれば長調,短3和音であれば短調ということができる。このような音階の形をそれぞれ長旋法(あるいは長音階),短旋法(あるいは短音階)といい,例えばハ長調はハ音上の長旋法,ハ短調はハ音上の短旋法である。ただし短調では,上述の自然的短調のほかに,和声的要求から第7度音が半音上げられて主音への導音となることで属和音のみ長3和音となる場合(和声的短調),さらに旋律的要求から上行時に第6度音も半音上げられて下属和音も長3和音を構成する場合(旋律的短調)がしばしばある。…
※「短旋法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」