神本仏迹(読み)しんほんぶつじゃく

世界大百科事典(旧版)内の神本仏迹の言及

【権現】より

… 以上に見るように,総体に修験者が信仰する山岳中心の霊場には権現号が多く,そこにはひときわ祭神の強力な霊験機能を誇示しようとする意識が働き,律令制の下で《延喜式》に規定された名神から来たと思われる明神の号への対抗が考えられるが,いずれの号をも称する祭神は多かった。室町期に興った吉田神道は神本仏迹説をとき,神道を仏教よりすぐれたものとしたたてまえ上,権現より明神号を尊び,地方の神社に対し大明神授与を行い,豊臣秀吉が死後まつられるにあたっては吉田神道に従って豊国大明神の号が贈られた。しかるに徳川家康の場合,明神号をもって吉田の唯一宗源神道による祭祀を主張した崇伝に対し,江戸上野の寛永寺天海は家康が生存中天台の山王一実神道を授けられ死後この神道の流儀でまつられるよう遺言したと称し,また明神号は豊国社没落の不吉の例ありとして権現号をもって山王一実神道の祭りを強引に推進し,ついに1617年(元和3)家康は東照大権現の神号に決定された。…

【本地垂迹】より

…一方密教行者の山岳修行に伴い山の神祇が仏教化され,吉野の蔵王(ざおう)権現のように仏教の護法神とも結びつき,あるいは山中他界の祖霊信仰と弥陀,観音,弥勒等浄土の信仰が習合して熊野など各地の修験道では神仏はまったく対等かつ同体とする思想を生ぜしめ,中世に入るとほとんどの神社では祭神の本地となる仏尊名が定められ,仏本(地)神(垂)迹の説が一般化した。同時にそこから和光神明の慈悲利益(りやく)をはなれては仏法も成り立ち難く,釈迦も神祇の化儀なりとする神本仏迹の思想(反本地垂迹説)があらわれた。かくて天台・真言の顕密仏教から神道理論を構成する者があらわれ,天台では日吉社の山王一実神道,真言では大和の三輪神道や伊勢外宮を中心とする伊勢(度会)神道が発生した。…

※「神本仏迹」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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