世界大百科事典(旧版)内の神経回路網の言及
【コンピューター】より
…1950年代半ばに提唱された人工知能が今日に至るまでコンピューターの最大の難問の一つとされているのは,人間の知能,なかんずく人間の常識を,形式的に明解に記述する方法がいまだに発見されていないからである。 記述の問題に起因するこのようなコンピューターの能力の限界を破るために,この項目で述べたノイマン型のコンピューターのモデルではなく,人間の神経回路網をモデルにしたニューラルコンピューターの研究や,小さな記述の種を出発点にして多数のコンピューターを並列に動かして,元の記述からは予期できないような計算の振舞いを創発させる研究が行われている。
【コンピューターの種類】
技術の発展と普及にともない,コンピューターはきわめて多様化している。…
【神経生理】より
…神経生理とは,個々の神経細胞やその集団が示す生理学的な現象を手がかりに,脳の働きを理解しようとする研究分野である。一般の認知科学が,脳機能を理解しようと試みているにもかかわらず,依然として脳をブラックボックスとして取り扱ったり,実際の脳とは無関係な認知システムやモデルを研究の対象にしているのに対して,神経生理学では,感覚,知覚,記憶,学習などを,脳の解剖学的な構造や生理学的な機能をもとに,単一神経細胞のレベルや神経細胞の集団からなる神経回路網のレベルで理解しようと試みている。特に,神経細胞の活動様態は電気的な現象としてとらえることができることから,このような電気現象を手がかりに,単一神経細胞における情報処理,神経細胞集団における情報処理のしくみをとおして脳の情報処理のしくみを明らかにしようとしており,ときには電気生理と呼ばれることもある。…
【ニューラルコンピューティング】より
…生物の脳の神経細胞(ニューロン)や神経回路網(ニューラルネットワーク)の情報処理様式に学んで,脳の高度な情報処理機能の人工的実現を目指す新しいタイプの情報処理手法の総称。ニューロコンピューティングとも呼ぶ。…
※「神経回路網」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」