世界大百科事典(旧版)内の《私たち死んだものが目覚めたら》の言及
【イプセン】より
…イプセンのリアリズムは,男性中心の小市民的生活に窒息させられる新しい女を描く《ヘッダ・ガブラー》(1890)で頂点に達したあと,91年に故国に戻ってから書いた《棟梁ソルネス》(1892)以下の晩年の作品では,シンボリズムの色合いを帯びてくる。特に最後作《私たち死んだものが目覚めたら》(1899)は不条理劇的雰囲気をもつ芸術家の自己審判の劇で,若きジョイスが熱烈な批評を書いたことでも有名である。イプセン劇はアントアーヌ,ブラーム,グレイン,スタニスラフスキー等リアリズムを信奉する前衛的な演劇人が好んでとり上げたが,第1次大戦の頃からその問題性は色あせて,単なる技巧派作家とみなされてくる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」