世界大百科事典(旧版)内の第1次精神医学革命の言及
【狂気】より
… ルネサンスという時期は狂気への対応においてさまざまの矛盾をふくみ,魔女迫害が強行される一方では,狂人のための収容施設がスペインその他で設立されはじめ,医師ワイアーJohannes Weyer(1515‐88)の《悪魔の幻惑》(1563)が現れて,〈憑依者や魔女の多くは精神の病だから,僧侶にでなく医師の手にゆだねるべきである〉と抗議し,医学の側からの高い槌音を響かせた。こうした刷新はのちに〈第1次精神医学革命〉(G.ジルボーグ)と評されることになるが,この〈革命〉によって出現したのが〈精神病〉だった。つまり,それまで神秘的自然観や魔術思想で養われていた狂気は医学の乾いたまなざしの対象となり,同時に人里離れた癲狂院へと封入され,そのうえ鉄鎖でつなぎとめられた。…
※「第1次精神医学革命」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」