総合芸術論(読み)そうごうげいじゅつろん

世界大百科事典(旧版)内の総合芸術論の言及

【楽劇】より

オペラとの相違は明確でないが,楽劇は従来のオペラに対する創作理念上の反省とその実践としての意味を持つ。劇と音楽との高次の一体化を志向する点で18世紀のグルックによるオペラ改革とも比べられるが,ワーグナーはより明確な美学的・理論的基礎付けをもって,音楽が劇よりも重視されていた従来のオペラを批判し,劇こそが究極の表現目的であり,音楽,文学,舞踊,絵画,建築などあらゆる種類の芸術が劇的な表現目的のために統一,融合されるべきであると説く〈総合芸術論〉を主張した(論文《未来の芸術作品》1849)。その結果,すぐれた韻文(特に中世ドイツ詩風の頭韻)の台本が要求され,ワーグナーは自作のすべての台本を自ら執筆している。…

【ワーグナー】より

…ドイツの作曲家。〈楽劇〉の台本で文学史上も重要な位置を占める。警察関係の書記をしていたフリードリヒ・ワーグナーを父に,その第9子としてライプチヒに生まれた。少年のころギリシア文学やシェークスピア劇に熱中したが,ベートーベンの作品に接し,音楽家になる決意をした。18歳のとき,ライプチヒ大学に入って音楽と哲学を聴講した。 1832年ころから指揮者として各地を遍歴する。最初のオペラ《婚礼》の台本をプラハで書き,帰国後作曲を始めたが,未完に終わった。…

※「総合芸術論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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