羅鄷都(読み)らほうと

世界大百科事典(旧版)内の羅鄷都の言及

【地獄】より

…初期の漢訳仏典で,地獄の語の代りに〈泰山〉の語が用いられるのは,そうした中国の伝承を利用したものであり,逆に泰山にある死者の世界も仏教の地獄に似たものとして描かれることにもなる。泰山とならぶもう一つの中国的な死者の世界,羅鄷都(らほうと)(鄷都)の詳しいようすが述べられるようになるのは六朝中期ごろからで,《真誥(しんこう)》に見えるそれは中国から遠く隔たった北方の地にあるのであるが,やがて四川省の鄷都に地獄があるのだとされるようになり,近世,その地では地獄にまつわる呪術的信仰と民間伝承とが発達した。道教内部にあっても,仏教の影響を受け,また民間伝承も取りこんで,唐代にはすでに八地獄,二十四地獄,三十二地獄といった地獄の組織化がなされている。…

【泰山府君】より

…この山にあって人間の寿夭(じゆよう)生死をつかさどり,死者の生前の行為の善悪を裁く神として信仰されたのが泰山府君であり,その起源は後漢(25‐220)のころにまでさかのぼりうる。魏・晋以降道教の成立にともなって,新たに北方の果ての冥府羅鄷都(らほうと)とその支配者北鄷大帝が説かれるようになると,泰山は羅鄷都への中継地,泰山府君は北鄷大帝の下僚とされた。さらに仏教の地獄説と習合すると,泰山府君を閻羅大王麾下の地獄の十王の一人とする十王信仰が成立して民間に盛行し,日本にも伝わった。…

【北極星】より

…これをうけた道教では,北辰の神号を北極大帝,北極紫微大帝もしくは北極玄天上帝などと称し,最高神である玉皇大帝の命をうけて星や自然界をつかさどる神として尊崇した。また,北方癸地にあるとされた道教の冥府羅鄷都(らほうと)の支配者である北大帝信仰と習合して,天界,人界,冥界の三界を総宰する神格とされるようになった。 北辰と並んで盛んであった北斗信仰との混同習合も早くから見られる。…

【羅鄷】より

…一般には鄷都という。また羅鄷都とも呼ぶ。死者がその死後まず羅鄷に行くという説は両晋のころより,主として道教文献に見えはじめ,陶弘景の《真誥(しんこう)》がその地理的・官僚的組織を詳細に記述する。…

※「羅鄷都」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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