世界大百科事典(旧版)内の聖務日課書の言及
【アレゴリー】より
…たとえば,フィレンツェのサンタ・マリア・ノベラ教会のアンドレア・ダ・フィレンツェのフレスコ(1365ころ)では,コンパスとT定規を持つ〈幾何学〉の擬人像の下に,ユークリッドが座している。月暦のアレゴリー(月暦画),すなわち貴人や農民の月々の営為の表現も,大聖堂正面の薄肉浮彫(パリ,アミアンなど),ばら窓,聖職者のための聖務日課書や平信徒用の時禱書に見られる。とくに農民の月々の野良仕事が教会の正面に表現される理由について定説はないが,聖書の教えが魂を重圧する無知から人間を救済するように,労働は原罪以来,人間の体に課せられた必然性から解放する,という説や,農民たちはそこに自分たちの姿を見いだし,神に庇護されている喜びを共感する,という説がある。…
【時禱書】より
…時禱(正しくは時課)とは毎日の定時の祈禱をいう。
[起源,内容]
時禱書の前身として,中世初期にもっとも一般的に使用された個人用祈禱書としての《詩篇》を重視する説と,聖職者用の聖務日課書(抄本)breviaryがその手本である,とする説がある。聖務日課書は,かつて聖書,賛歌,交誦,集禱文など数冊に分かれていたが,種々の便宜と目的のため12世紀にモンテ・カッシノ修道院などで1冊の抄本にまとめられ,以後急激にヨーロッパ各地に普及したものである。…
※「聖務日課書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」