六訂版 家庭医学大全科 「肺アスペルギルス症」の解説
肺アスペルギルス症
はいアスペルギルスしょう
Pulmonary aspergillosis
(呼吸器の病気)
どんな病気か
アスペルギルスは
肺アスペルギローマは、
CNPAは、肺アスペルギローマと侵襲性肺アスペルギルス症の中間に位置する病態で、何らかの全身性の基礎疾患を有し、数週間~数カ月の臨床経過で増悪する病態と考えられています。
IPAは血液悪性腫瘍患者の抗がん化学療法に伴う好中球減少時、臓器移植患者の免疫抑制薬投与時や、
症状の現れ方
肺アスペルギローマでは、咳、
IPAは、突然の発熱が起こり、その後に喀痰、咳、呼吸困難などの症状が現れます。病変が胸膜に接して存在することが多いため、胸痛を伴うこともあり、また血痰や喀血が起こることもあります。
検査と診断
肺アスペルギローマでは、胸部X線写真で典型的な菌球を認めれば、診断は比較的容易です。また、血清診断としてアスペルギルス抗体を測定します。ガラクトマンナン抗原も約30~40%の症例で陽性となります。
一方、IPAは診断が困難ですが、ガラクトマンナン抗原や
診断は、喀痰や病巣からアスペルギルスを分離・同定するか、組織内にアスペルギルス菌糸の浸潤を病理学的に証明することで確定します。
治療の方法
アスペルギローマは外科的切除が原則的で、経験的治療(客観的なデータではなく過去の経験に基づいた治療)は一般に行いません(図15)。CNPAとIPAはボリコナゾール(ブイフェンド)が第一選択薬です(図16)。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報