胎児病(読み)たいじびょう(その他表記)Fetal disease

六訂版 家庭医学大全科 「胎児病」の解説

胎児病
たいじびょう
Fetal disease
(遺伝的要因による疾患)

 胎芽が完成しても環境要因により先天異常が発生することもあります。水銀中毒による胎児水俣病(みなまたびょう)や、最近ではみられなくなった母親の梅毒(ばいどく)感染が原因となる先天梅毒がよく知られています。

 また妊婦喫煙は、胎児や胎盤を低酸素状態にさらすことにより未熟児の原因になることがあります。妊婦が糖尿病のために高血糖になっていると、巨体児の出生や新生児期低血糖症の原因になることがあります。

 妊婦の細菌感染によって、胎児性中耳炎が原因の難聴が赤ちゃんに発生することもあります。

 これらの催奇形因子は胎芽の形成に直接作用したものではないため胎児病と呼ばれますが、催奇形因子が妊娠のいつの時期に作用したかはわからないことも少なくなく、厳密に胎芽病と区別することは難しい場合があります。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

世界大百科事典(旧版)内の胎児病の言及

【出生前小児科学】より

…個体発生を受精以前の遺伝子,配偶子の段階から考えることにより,疾患発生の時間的経過が整理され,疾患の本質が理解される。すなわち,(1)遺伝子病,(2)配偶子病(染色体異常),(3)胎芽病,(4)胎児病である。遺伝子病は,両親に顕在または潜在する遺伝子の異常(欠損,変異)が児に伝達され,病的な症状を示すものをいう。…

※「胎児病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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