世界大百科事典(旧版)内の自己像幻視の言及
【幻視】より
…見えるものは人や動物,事物,風景などであり,眼前にありありと見たり,目の中,頭の中,ときには自分の背後に見る(視野外幻視)。動物が見えるのを動物幻視,人や物が小さく見えるのを《ガリバー旅行記》にちなんでリリパット幻視(小人島幻覚)とよび,自分の姿をみるのを自己像幻視(鏡像幻視,ドッペルゲンガー)と呼んでいる。幻視は一般に意識障害の際にあらわれやすく,したがって症状精神病(急性伝染病,全身疾患などの際の精神症状)や,中毒性精神病(慢性アルコール中毒,各種幻覚剤中毒など)に多くみられる。…
【ドッペルゲンガー】より
…近代文学でも,E.T.A.ホフマン,E.A.ポー,ドストエフスキー,芥川竜之介らの作品にこの主題が多彩な内容で登場する。 今日ではしかし,二重身というと,自分自身の姿,つまりもう一人の自分を自分で見るという〈自己像幻視Heautoskopie〉の意味で用いられることが多く,精神病,とくに精神分裂病や癲癇(てんかん)の症状として一般に現れる。正常者でもときに体験することがあり,過労や心労によって意識水準がある程度低下し,そのため自己の身体像が外界に転位されて感覚性を帯びたものと説明される。…
※「自己像幻視」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」