自由社会における完全雇用(読み)じゆうしゃかいにおけるかんぜんこよう

世界大百科事典(旧版)内の自由社会における完全雇用の言及

【雇用政策】より


[失業政策から雇用政策への転換]
 以上の失業に対する政策提案は自由放任経済のもとでの完全雇用を前提とし,労働市場における不完全性を除去し,および均衡過程に到達する間の調整過程で発生する失業者を事後的に救済する過去の政策とは,政府が財政金融政策(フィスカル・ポリシー)によって総有効需要を調整し,失業の減少,雇用の増大,維持を可能にすることを含意している点で基本的に違っており,失業政策から雇用政策への転換だといってよい。以上の意味での完全雇用の達成と維持を第2次大戦後の政府の政策目標とすべきであるとし,完全雇用政策の名を高からしめたのは,W.H.ベバリッジの〈自由社会における完全雇用〉(1944)と題する報告であり,大戦後先進工業国はいずれも完全雇用の達成を政府の経済社会政策の中心目標の一つに据えることになった。
[失業率と物価上昇率間のトレードオフ関係]
 こうして,1950‐60年代には,先進工業国では,世界的好況のせいもあって,完全雇用に近い状態が実現したといわれるが,この間物価水準が上昇し,雇用水準の維持という政策目標と物価安定という政策目標との間にトレードオフ(二律背反)の関係がみられ,注目されることになった。…

※「自由社会における完全雇用」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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