《莠伶人吾妻雛形》(読み)ふたばれいじんあづまのひながた

世界大百科事典(旧版)内の《莠伶人吾妻雛形》の言及

【摂州合邦辻】より

…河内の大名高安家のお家騒動の際,後妻の玉手御前がわが身を犠牲にして世嗣の俊徳丸に家督を継がせ,継母としての義理を果たしたという経緯を描いた作品。盲目の俊徳丸を主人公とする謡曲《弱法師(よろぼし)》や説経節《信徳丸》の系譜を受けて作られた《莠伶人吾妻雛形(ふたばれいじんあづまのひながた)》(1733年7月大坂豊竹座)を直接の先蹤とし,それに説経節《愛護若(あいごのわか)》系の継母の恋という構想をも絡めて筋立てを展開させたもの。上の巻――悪人たちによる俊徳丸殺害の陰謀を知った玉手御前は,住吉参詣のおり,神酒にかこつけて俊徳丸と盃を交わし,みずからの恋の思いを打ち明けるが,その盃には毒酒がはいっていた。…

【富士浅間物】より

…管絃の役の争いから楽人浅間に殺された富士の妻が,敵は太鼓であると,太鼓を打って恨みを慰めるのが主題。浄瑠璃では1733年(享保18)7月豊竹座の並木宗輔作《莠伶人吾妻雛形(ふたばれいじんあづまのひながた)》が有名で,これは義太夫正本《弱法師(よろぼし)》の筋と合わせた作品。49年(寛延2)4月竹本座の竹田出雲作《粟島譜嫁入雛形(あわしまけいずよめいりひながた)》はその改訂版。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」