世界大百科事典(旧版)内の《藐姑射秘言》の言及
【好色文学】より
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[西洋]
好色が罪悪視されなかった古代では猥雑な表現は公演される劇作(アリストファネスの喜劇など)にさえ見られるが,西欧好色文学の古典はローマのオウィディウスの《アルス・アマトリア》である。中近東を代表するのは中世にまとめられた《千夜一夜物語》といえよう。中世にはフランスの韻文小話ジャンル〈ファブリオー〉(主として13世紀)が風刺的な好色の要素を示す。イタリア文芸復興期にはボッカッチョの《デカメロン》があり,その影響下にフランスで《新百話》(15世紀),マルグリット・ド・ナバールの《エプタメロン》(1559)が書かれた。…
【媚薬】より
…《逸著聞集(いつちよもんじゆう)》には性欲がたかぶって困る人が,教えられて鰻,鶏卵,山芋,牛蒡などいずれも強精食といわれるものを食べたら,かえって陰茎が激しく勃起して火のように燃え,水に浸したら湯になったとある。また,陰部に薬を塗られた常盤(ときわ)御前が淫欲高まって平清盛に身をまかせながら子どもたちの助命をとりつけた話(黒沢翁満《藐姑射秘言(はこやのひめごと)》)とか,尼将軍政子が腎虚になったので淫羊藿(いんようかく)(強精の効によって陰茎が怒るほど勃起するというので和名を〈イカリソウ〉という)に男女の淫水2升を混ぜる丹薬を造るため,若侍と御殿女中各100人がいっせいに交わる話(平賀源内《長枕褥合戦》)などもある。 他方,まじめだが内容がすごいのは,俳人小林一茶が自分たち夫婦の性交をきちょうめんに記録した《七番日記》や《九番日記》である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」