世界大百科事典(旧版)内の蘭方医の言及
【医学】より
… このオランダ医学派の医師たちは,鎖国後,長崎に限定された窓からもたらされるわずかの知識,とくにオランダ商館づきの医師たちを通じて得られる医学的知識や技法を基礎としていた。当初,通訳官(通詞)以外にはオランダ語を研究することは禁じられていたので,それらの通訳官が,オランダ流医学,つまり蘭方医の開祖となった。外科にすぐれていたといわれる西玄甫(にしげんぽ),西洋解剖図譜《和蘭全軀内外分合図》をつくった本木了意,A.パレの外科書をもとに《紅夷外科宗伝》を著した楢林鎮山(ならばやしちんざん)らは通詞である。…
【医者】より
…しかし,一般の庶民医療に従事したのは,古代・中世を通じ,もっぱら僧医であって,このなかから開業医が生まれ,さらに戦国期にいたると実証主義をとなえる臨床医が出現した。やがて江戸中期からは,すぐれた蘭方医が輩出して幕末までに医療界の主流を形成し,明治維新後に近代医事制度ができる素地となった。(1)仏教医学の全盛期 日本固有の原始的な経験医療が,仏教伝来にともない,しだいに体系づけられた仏教医学にとりこまれていく過程で,医を業とする者の身分も固定化された。…
※「蘭方医」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」