補陀落浄土(読み)ふだらくじょうど

世界大百科事典(旧版)内の補陀落浄土の言及

【那智山】より

…【重見 之雄】
[信仰]
 熊野の地を根の国・常世(とこよ)国とみる信仰にもとづき,那智山には古くから多数の修行者が入山し,修験道が成立するに及んで,その拠点となった。熊野三山のなかでも特異な位置を占め,那智滝を中心として信仰が展開してきた点や,熊野那智大社にまつられる熊野夫須美(ふすみ)大神が万物生成をつかさどる産霊の転化した神であり,その本地が千手観音とされたことから観音の補陀落(ふだらく)浄土(補陀落山)とされてきた点が注目される。滝が重要な位置を占めてきたことは,四十八滝と称されるごとく多数の滝を有し,那智滝を神格化した飛滝(ひろう)権現をまつることや,那智山組織が東西の執行を頂点として衆徒,滝衆,行人などで構成されるなかで,滝衆が重要な地位を占めるとともに,東の執行を滝本執行と称してきたことでも知りうる。…

【日光】より

…しかしフタアラがなぜニコウと音読されるようになったかは,その背景として太陽崇拝,日輪崇拝が説かれているものの問題として残る点であり,さらに二荒の名称起源に関しては諸説がある。空海の書とされる《沙門勝道歴山水瑩玄珠碑幷序》に男体山を指して〈補陀落山〉と記されているところから,日光山が観音の補陀落(ふだらく)浄土とみなされ,それがフタラク,フタアラに転じたとする説が最も有力である。しかし,アラを現れると解し,男体・女峰の2神が出現したことに由来するという見解も捨てがたく,《滝尾建立草創日記》には,中禅寺の鬼門に洞窟があり,年2回の大風が吹き出し,寺などを荒らすので二荒と称していたが,この地に来た空海が祈禱によって風を鎮め,二荒を日光に変えたとする伝説が記されている。…

※「補陀落浄土」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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