警固衆(読み)けいごしゅう

世界大百科事典(旧版)内の警固衆の言及

【海上警固役】より

…また海賊衆は貿易船の護送にもあたったが,室町幕府が遣明船を派遣するとき,その船舶を海賊の被害から守るため海賊衆にたいして警固の役を課した。海賊衆を〈警固衆〉とよぶのはこのためである。備後の守護山名氏は1434年(永享6)室町幕府から遣明船警固の命令をうけたが,このとき幕府に対して伊予と周防の海賊に帰朝船の警固を命じたらよい,自分は管国内の備後海賊の村上氏に海上警固役を申し付けるといっている。…

【海賊衆】より

…中世末から近世のはじめにかけて九州,瀬戸内海などの海上交通の要衝に勢威をはった海辺の武士団を〈海賊〉と称し,海賊衆は守護大名や戦国大名と主従関係をもち,海上軍事力を構成した組織集団の水軍をいう。ほんらい海賊は権力に組みこまれることを好まない存在であったが,南北朝・室町時代の守護大名や守護を凌駕して台頭した戦国大名が,その支配力を領国内の浦々や港湾,海にそそぐ河口近辺におよぼしはじめると,そうした所を根城とした海賊は,いままで所有していた所領や海上諸権益の安堵や新しい所領の充行(あておこない)を大名権力からうけながら,守護大名の被官となったり,戦国大名の家臣に,それもその性格から海上軍事力を構成する警固衆に編成されて海賊としての性格を失って封建家臣に変身する経緯をたどるのがふつうである。はじめ海賊は海上を航行する船がほかの海賊から襲撃されないように警固することを目的に雇われて〈酒肴料〉と称する警固料をえて,それを生活の糧としていたが,守護の被官となっても海上警固をその任務として警固衆あるいは海賊衆とよばれ,戦国大名治下でもそうよばれた。…

【水軍】より

…海上における武装集団。海賊衆,警固衆などを指すこともあるが,彼らが大名権力に組織された状態をいうことが多い。海上交通の拠点となる沿岸島嶼に跋扈(ばつこ)し,荘園年貢などを輸送する船の警護役を務めて駄別料を取り立てたり,関所を設けて通行税を徴収したりするほか,ときには往来の船を襲って積荷を略奪するなど乱暴を働いた。…

【瀬戸内海】より

…彼らは室町幕府治下では,それぞれ一定の海域について海上警固権を保持し,その警固の反対給付として当該海域での警固料徴収権を行使した。その面から彼らは警固衆とも呼ばれた。彼らは航行船舶にその配下を乗りこませたり,要衝の地に関所を設けたりして警固料を徴収し,これに応じない場合は乱暴を働くので恐れられた。…

※「警固衆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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