世界大百科事典(旧版)内の象徴派演劇の言及
【象徴主義】より
…日本では,上田敏の訳詩集《海潮音》におけるフランスの象徴詩の紹介と並んで,明治末期から大正にかけて,蒲原有明,北原白秋,三木露風らが象徴詩を試作した。デカダン派【菅野 昭正】
[演劇]
今日,〈象徴主義的〉ないしは〈象徴的〉の語は,古代から現代にいたるさまざまなそのような種類の演劇をさしてしばしば用いられるが,少なくとも〈象徴主義演劇〉あるいは〈象徴派演劇〉といった場合には,それは単に象徴的な演劇でも,広義の象徴主義にのっとった(あるいはその原理の認められる)演劇でもなく,特定の時代の特定の演劇上の思潮,すなわち19世紀の80年代後半にフランスで前衛的文学流派となった〈象徴派Les Symbolistes〉の主張した演劇,あるいはそれに基づく舞台の実践を指す。マラルメとビリエ・ド・リラダンを師と仰ぐ象徴派の若い詩人たちには,〈世紀末〉の唯物思想に対する観念論的・神秘主義的反動と,R.ワーグナーの楽劇に対する熱狂が一種の共通の了解としてあり,文芸とくに演劇に関しては,約15年先輩のÉ.ゾラとその自然主義に対立していた。…
※「象徴派演劇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」