貞文(読み)さだぶみ

世界大百科事典(旧版)内の貞文の言及

【平貞文】より

…905年(延喜5),906年に両度の歌合を催し,勅撰集には26首の和歌が選ばれた。中古歌仙36人の中にも数えられて,おそらくその家集を本として貞文の子孫が著した《平中(へいちゆう)物語》に取り込まれた99首の自詠(長歌1首,連歌2首を含む)その他を合わせて114首の和歌を残す歌人であるが,より有名なのは業平の〈在中〉と並んで世の好色者(すきもの)と評判される伝説中の人物〈平中〉である。《源氏物語》の〈末摘花〉の巻にも早く〈平中墨塗譚〉が取り上げられ,《今昔物語集》の〈平中樋洗(ひすまし)譚〉から《宇治拾遺物語》《十訓抄》《古本説話集》《藐姑射秘言(はこやのひめごと)》《しみのすみか物語》《大東閨語》,さらに近代の芥川竜之介の《好色》,谷崎潤一郎の《少将滋幹の母》に至るまで,平中好色滑稽譚は数多いが,貞文その人はきわめて気が弱く父母に従順,女性に永遠のあこがれを抱く純情な性格の持主であった。…

※「貞文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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