責任主義(読み)せきにんしゅぎ

世界大百科事典(旧版)内の責任主義の言及

【刑罰】より

…さらにまた,刑罰の一般予防効果と特別予防効果という功利的な目的を追求するとき,社会防衛のために過度の刑罰を科すことになる危険がある。その危険を防ぐためには,刑罰は,行為責任(過去の犯罪行為に対する非難可能性)の限度をこえてはならないという意味での責任主義の原則を守らなければならない。それは,罪刑法定主義とともに,個人の尊厳と自由を国家刑罰権の濫用に対して保障するための原則である。…

【刑法】より

…旧刑法は,1810年のフランス刑法典を母法としていたが,ボアソナードが支持した新古典主義刑法理論の立法化の試みでもあった。その旧刑法は,罪刑法定主義の宣言,犯罪の成立に故意,過失,責任能力を要求することによる責任主義の採用,刑罰の身分上の差別的取扱いの廃止などの点で,近代的刑法典としての性格を示していた。旧刑法は,その施行後まもなく,90年ころから,資本主義の急激な発展にともなう犯罪の増加現象を背景に,ヨーロッパに新たに台頭した新派理論を学んだ論者(富井政章)によって,〈寛弱〉にすぎ犯罪対策として無力であるという批判をうけるようになる。…

※「責任主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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