世界大百科事典(旧版)内の質奉公人の言及
【休日】より
… なお中世の農民や職人に関しても,定期的な休日の制度は知られていない。番【福田 豊彦】
[近世農民の労働と休日]
江戸時代の上層農民には譜第下人,質奉公人,年季奉公人,季節傭と,性質の異なる下男下女を使う者が少なくなかった。この種の雇人を使う心構えは農書の類の関心事でもあり,次々と休みなく使うために必要な農具類を用意し,田畑への行き来にも,必ず物を運ばせる心構えが,主人には必要とされた。…
【近世社会】より
…近世初期にも年貢を納めることのできない百姓が出たが,九州北部の例ではその完納のために家族を質に入れ,ときには主人を含めた全員の質入れもみられた。このときの田畑の耕作をだれがやったかは確認されていないが,中世末期の奴婢や近世の譜代下人,質奉公人の労働の例からみると,主家における一人並みの労働の量が定まっており,それを果たしたあとの余暇は下人の自由になることからみて,質奉公人の手で耕作されたと思われる。しかし地方によっては土地を売却して未納にあてる例も出,このような土地売却が増加するなかで,1643年(寛永20)ごろから幕府直轄領では田畑永代売買禁止令が出される。…
※「質奉公人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」