世界大百科事典(旧版)内の超越的名辞の言及
【アナロジー】より
…多くの詩的表現や比喩,たとえば〈微笑む草原〉〈人生の秋〉などは比例的なアナロジーにもとづくものであり,また〈健康〉という言葉が人間自身,および彼の顔色,尿,生活環境,食物,医薬などについて異なった意味で語られる場合,それら多様な意味は人間自身について語られる〈健康〉への関係において統一されているかぎりにおいてアナロジー的である。これにたいして本来的な哲学的アナロジーは美,善,真,一,存在など,特定の〈類genus〉を超えて用いられる〈超越的名辞transcendental term〉に関して見いだされる。これらの名辞は,〈実体〉〈量〉〈質〉〈関係〉などの〈類〉もしくは〈カテゴリー〉の枠を超えて,また有限的存在と無限的存在の区別を超えて,根元的に異なっていながら何らかの意味の同一性を保ちつつ,つまりアナロジー的に述語されるが,それらのなかで〈存在ens〉が中心的位置をしめるところから,〈存在のアナロジー的性格〉つまり〈存在の類比analogia entis〉が強調されることになる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」