世界大百科事典(旧版)内の超革命独裁の言及
【独裁】より
…またF.ノイマンは〈実力による全政治権力の掌握〉という独裁の政治的実態に即して,軍,警察,官僚,司法等の伝統的支配手段を少数者が集中的に掌握する〈単純独裁〉,個人の大衆に対するカリスマ的声望を背景として成立する〈カエサル的独裁〉,マス・メディアや経済統制を通じて市民の私生活にまで入りこむ〈全体主義的独裁〉を区分する。独裁の社会経済的基盤に注目したG.ハルガルテンは,〈一個人の力ずくの支配であって,支配者の称する天命に立脚し,法律と伝統を共に拒否し,社会危機ないし革命によって行動に駆り立てられた広範な大衆に支持されているもの〉と独裁を定義して,古今東西の独裁を比較検討することにより,(1)貨幣経済の最盛期に伝統君主や貴族の支配に対し新興支配層が勃興してくることから生じる〈古典独裁〉(古代ギリシアの僭主政,古代ローマのカエサル,イギリス革命のクロムウェル,フランスのナポレオン,20世紀ラテン・アメリカ諸国の独裁など),(2)大衆の蜂起を背景とし革命家の委員会が強圧的支配をおこなう〈超革命独裁〉(フランス革命のジャコバンとロベスピエール,ロシア革命におけるボリシェビキとレーニンなど),(3)古典独裁へ対抗して伝統的支配層が組織する〈反革命独裁〉(古代ローマのスラ,20世紀スペインのフランコなど),(4)超革命独裁の脅威のもとで伝統にひきずられた中産階級の大衆運動により組織される〈擬似革命独裁〉(イタリア・ファシズム,ドイツ・ナチズムなど)を類型化した。ここでは,社会構造変化にともなう旧来の支配体制の危機が,独裁成立の要件として着目されている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」