世界大百科事典(旧版)内の送りオオカミの言及
【オオカミ(狼)】より
…山中で猪鹿がものに追われたように飛び出してきて,狩人に撃ちとられたりすると,これをオイヌがとらせてくれたとしてその肉の幾切れかを木に刺しておいてきたり,オオカミがたおしたらしい新しいシカの死体などは黙ってとってくると,あとからオオカミがついてきてあだをするといって,必ずオオカミの好む塩をひとつかみ代りに置いてくる習わしもあった。夜道を歩くとオオカミがあとをつけてきて,人がつまずき転ぶのを見ると襲いかかるといい,女性などに言い寄って悪事をたくらむ者を〈送りオオカミ〉などと呼んだのも,オオカミがしだいに家畜や人を襲うものとして認識され,信仰が変化してきた結果生じたのである。その理由としては,近世における農耕の進展が彼らの生活圏である林野を狭め,同時にその食糧である野生動物をも減少させた点にあるもののようである。…
※「送りオオカミ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」